

ジョータローさん。
以前、フジクリーンのCA型について素朴な質問をさせてもらいました。

おー!あったね。
下記の記事ね。

また、気になる浄化槽があったんです。
ダイエー 浄化槽 FCE-5型の汚泥貯留槽にある・・・
循環水が流れて行く途中にある接触材・・・↓これは何ですか?


フジクリーンのCA型にある汚泥撹拌装置に似てますよね。
でも、ばっ気してないです・・・

そういう素朴な疑問が出てくるのは良いことだね。
これはDO低減用の接触材だよ。

で、でーおーてーげん?

DOは溶存酸素(Dissolved Oxygen)の略だね。
だから、溶存酸素を減らすための接触材ってことだね。
こんにちは、浄化槽管理士歴10年の浄島 ジョータローです。
今回は、新米くんから2つ目の素朴な疑問を貰ったので、ブログ記事にしつつ答えたいと思います。
FCE型の浄化槽メーカーは大栄産業株式会社です。
大栄産業は日本国内で45年以上にわたり浄化槽を製造しており、小型から大型まで幅広いラインアップを展開しています。
ぜひ、FCE型について理解を深めていきましょう。
溶存酸素とは
溶存酸素とは、水中に溶解している酸素分子のことです。
微生物による有機物分解や窒素除去プロセスにおいて重要な役割を果たします。
溶存酸素の役割
- 有機物の分解
好気性微生物は溶存酸素を利用して汚水中の有機物を酸化分解します。このプロセスでは、微生物が有機物をエネルギー源として利用し、最終的に水と二酸化炭素に変換します。 - 硝化反応
排水中の窒素成分(アンモニア態窒素など)を亜硝酸態窒素や硝酸態窒素に変換する際にも溶存酸素が必要です。このプロセスは窒素除去に欠かせない工程です。 - 微生物の呼吸
活性汚泥中の微生物は溶存酸素を呼吸に利用して繁殖し、汚水中の汚染物質を処理します。DOが不足すると微生物が死滅し、汚水処理能力が低下する原因となります。
DO低減用の接触材について
DO(溶存酸素)低減用の接触材は、主に浄化槽内で生物膜の生成を促進し、効率的な汚水処理を実現するために使用されます。以下にその特徴と用途について説明します。
- 生物膜生成の促進
接触材は微生物が付着して生物膜を形成するための基盤となります。特にDOが低い状態では、菌から分泌される細胞外高分子物質(EPS)が流されずに接触材に強く粘着することで、生物膜生成が促進されます。 - 透視度改善
DO低減運転によって後生動物(例:サカマキガイやミジンコ)の活性を弱め、生物膜への食害や解体を防止することで、水質の透視度を改善します。 - 嫌気性環境の形成
接触材は嫌気性環境を維持する役割も果たします。間欠曝気運転でDOを低下させることで、通性嫌気性細菌が優位となり、効率的な汚染物質分解が可能になります。
溶存酸素を低減する目的
溶存酸素(DO)を低減する目的は、処理プロセスの効率化や特定の環境条件を作り出すためです。以下に具体的な目的を説明します。
- 嫌気性環境の形成
DOを低減することで嫌気性微生物が活発に働く環境を作り出します。これにより、硝酸塩の脱窒(窒素ガスへの変換)や有機物の分解が促進されます。特に、硝化・脱窒プロセスではDOの制御が重要です。 - 微生物バランスの維持
DO濃度が高すぎると好気性微生物が優位になりすぎ、嫌気性微生物の活動が抑制されることがあります。DOを適切に低減することで両者のバランスを保ち、汚水処理全体の効率を向上させます。 - 硫化水素などの悪臭抑制
DO不足による嫌気呼吸で硫化水素などの悪臭成分が発生する可能性がありますが、DO濃度を適切に低下させることでこれらの問題を防ぐこともできます。

FCE型の維持管理要領書も確認してみよう。
維持管理要領書にも下記のような事が記載されています。


出典:ダイエー FCE型 維持管理要領書 P3,P14より一部抜粋

なるほど。
担体流動槽はDOが1mg/L以上あるから、汚泥貯留槽の嫌気性微生物が活発に働くためには循環水のDO値を下げる必要があるんですね。そのために、DO低減用の接触材が必要なんですね。

そういう事になるね。

ありがとうございました。
この接触材はDO低減のためだったんですね。
特に何も考えずに点検しちゃってました。

また気になることがあったら質問してね。
今回は、ダイエー FCE型のDO低減接触材について触れてみました。
この記事が少しでもあなたの点検業務のお役に立てれば嬉しいです。
もしこの記事が参考になった、良かったと思っていただけたら、ぜひ他の方にもシェアしていただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
浄化槽について自信を持って点検出来るよう知識を深めていきましょう。
以上、ジョータローでした!
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